今日、あなたは日記的なことを書くことをしないね、心の動きをあまり話さないね、と言われた。
だから、日記を書いてみようと思う。
中学生のとき、わたしは友だちに「自分のことを話すのすごく嫌そうにするね」と言われたことを覚えている。
それは図星だった。
なぜいやなのか、ということをここに記せるほどわたしは己を開示できない。
ただ、ずっとそのような方法をとってきた。
わたしはその絵の存在を知ったとき、なんてすばらしい絵なんだろうと思った。
わたしをわすれる。
とてつもなく魅力的だ。
はやくそれになりたいと思った。
そう、無になりたかった。
物心ついたころから、わたしの隣にはキョムがいた。
キョムがわたしを蝕んでいるのか、わたしのほうこそ積極的にキョムに蝕まれにいっているのか、もはやわからない。
キョムはいつもやさしかった。
どんなわたしをも肯定して飲みこんでくれた。
ブラックホールのようにわたしの感情を吸いこんで処理し、感情を吸い取られたわたしは無気力でくったりと横たわり眠る。
キョムのせいで眠れないのに、キョムがいないと眠れない。
わたしは潔癖なほどわたしに侵入しようとするものと距離を置こうとしている。
私の心のまわりを取り巻く分厚いキョムは、あらゆるものからわたしを守り、わたし自身からわたしの周りやわたしを守ってきた……かもしれない。
今ここまで書いてきて、とてつもない苦痛を感じている。
やっぱり、嫌なのだ。
わたしははやく森になりたい。
だが、わたしは人間なのだった。
人間として生きねばならぬ。
ままならないなあ。