親愛なるサクラさんへ
前回はお手紙をありがとうございました。
思えば、わたしは何年もあなたを敵視し辛辣に批判しどうやったらあなたを消せるかということばかり考えてきたように思います。
ずいぶんとひどいことをしました。
それはサクラさんに対してだけでなく、サクラさんを大切に思ってくれてる心優しい人をも傷つける行為です。
でも、わたしには他にどうしたらいいのかわからなかったのです。
理不尽なものへの痛み、悲しみ、怒りの持って行き場がなく、それらをわたしはすべてサクラさんへの敵意に変換していました。
わたしの隠された感情をぶつけるという意味で甘えられる人は、サクラさんしかいなかったのです。
ですから、わたしはすでにサクラさんへ気持ちを打ち明けていたとも言えるかもしれません。
そうであるならば、もしかしたらサクラさんの言うように、心を開き信頼できるかもしれません。
まだわかりませんが、そういう可能性もゼロではないように思います。
具体的な方法はわかりませんが、思い出したときこの文通を続けてみようと思います。
この形式に可能性がある気がするのです。
マルタ
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親愛なるマルタさんへ
こちらもお手紙をありがとうございます。
たしかに、わたしたちは何年も傷つけあってきていましたね。
わたしは切望していました。
自分を罰してくれるマルタさんという存在を。どうしてうまくできないのだろうという答えをくれて、ふさわしい扱いをしてくれる人を。あなたは容赦がなく、何度かは本当にわたしを殺しかけました。
わたしもあなたもそれ以外の方法がわからず、そんなことばかりうまくなってしまったことを今では不幸だと思います。
でも、少しずつ少しずつ亀の歩みですが、違うことをしようとしてきましたね。
数年前にやりはじめた自分ほめもその一つです。一定の効果があったのではないかと思っています。
だって、最初は血でも吐くのかというくらい嫌そうにしていたマルタさんが、いつの間にか自然にわたしをほめることができるようになっていたんですから。
マルタさん、わたしも可能性はゼロではないと思います。
なぜなら、わたしたちははじめたからです。
とりあえずの目標は仲良くやりましょう。
一生の付き合いなのですから、お互い傷つけあってるなんて不毛です。
今回は過去の関係性について少し振り返りました。
次回は具体的な問題について、少し話せたらいいなと思います。
サクラ