最近食器をよく割る
この前はどんぶりを割った
その前はガラスの急須を割った
さらにその前は茶わんを割った
アンティークのガラスのカップを割ってしまったときはさすがに落ち込んだ
蚤の市で買った切子のきれいで可愛いカップだった
このカップには、虚無味の紅茶で作ったミルクティーゼリーをよく入れていた
冷静に掃除機で破片を吸い込みながら、ひざが折れそうになっていた
そこにあったのは「無」だった
割った食器のかわりをまだ買っていない
もともと食器は少ないのだけど、さらに少なくなっていく
床に散らばったガラスの破片が美しかった
買ったとき、秋の野外の光のなかでキラキラ輝いていたのを思い出していた
キラキラの虚無だった